メトカーフの法則というネットワークの規模を考慮した計算方法を使う暗号通貨ビットコイン(BTC)の「理論価格(フェアバリュー)」があながち的外れではないとする説があります。
とすれば、今のビットコイン現在価格と理論価格のギャップを参考にトレードすれば爆益なのでは?
という浅はかな考えから、メトカーフの法則の算出方法でビットコインの理論価格をご紹介したいと思います。
以前S2Fモデルでは希少性の観点からビットコイン理論価格を考察し長期トレード戦略に大いに役立ちました。
メトカーフの法則からビットコイン適正価格を算出
メトカーフの法則とは
メトカーフの法則とは、ネットワーク通信の価値は、システムに接続しているユーザー数の二乗(ユーザー数×ユーザー数)に比例するというものです。ロバート・メトカーフ博士が提唱しました。メカトーフじゃありません、メトカーフです。
電話やインターネット回線などネットワークの価値は、繋がるユーザーが多ければ多いほど高まるということです。ウイルスの増殖率とかにも応用されているそうです。
右の画像のように、世界中で電話を使用する人が増えていく状況であれば、「ユーザー数×ユーザー数」という計算でネットワーク価値は上昇していくことになります。
ビットコイン理論価格の計算にはユニークアドレスを使う
暗号通貨ビットコインの適正価値を探る計算方法にメトカーフの法則を使う場合、ビットコイン(BTC)のユニークアドレス(取引履歴があるアドレス)を使って計算するらしいですが、一応トータルアドレス、アクティブアドレス(24時間以内で取引履歴があるアドレス)の数も見ました。
ビットコインの現在のユニークアドレスを調べるには、「Blockchain.com」というサイトの「Unique Address」
ちなみにトータルのアドレス数を調べるには「Bitcoin Explorer」ページを参照すればわかります。
その結果、2021年1月7日時点ビットコインの
トータルアドレス数は約776Mでそのうち、
ユニークアドレス数は約852K(85.2万)、
残高のあるトータルアドレス数は約33.4M(3340万)、
アクティブアドレス数は約1.24M(124万)
でした。※1Mは100万円
メトカーフの法則通りにビットコイン理論価格を計算してみる
アドレス数を二乗し総発行枚数で割る
ビットコイン時価総額は$ 686.83B(Bは10億)なので6868.3億ドル、日本円にして68兆6830億円。ビットコイン現在の総発行数は1859万3千枚。
総時価総額を総発行枚数で割ると、1BTCあたり369万4千円でした。
計算してみたがどうもしっくりこない
現在のアクティブアドレス数もしくは残高ありアドレスの二乗をBTC総発行枚数で割るとビットコイン理論価格が算出できるはず…!
残高ありトータルアドレスの場合:3340万×3340万=1115兆5600億、1BTC換算=5999万8924円
アクティブアドレスの場合:124万×124万=1兆5376億、1BTC換算=8万2690円
※現在のビットコイン価格は約365万円
あれ、どちらにしても的外れな価格が算出されてしまいました。
残高ありのトータルアドレスで計算するとBTCが6000万円くらいになってしまうんですが、まさかね。
メトカーフの法則を応用して算出する必要があった
さらにこの式に1トランザクションあたりの平均価値を掛けるとか、二乗ではなく1.69乗とかの情報もあったんですが、調べていくうちに分かりました。
過去数年前のビットコイン価格であればそれなりの近似値が出たようですが、現在メトカーフの法則ではアドレス数を用いた計算では的外れなことになってしまいます。
スイス連邦工科大学チューリッヒ校のスペンサー・ウィートリー教授の研究チーム(海外記事)が発表した論文によると、
とのこと。
各ウォレットアドレス、つまりユーザーが他のユーザーとつながる割合は100万人だとすると、ユーザー1人がつながっている他のユーザー数はたった1万人でとなり、より実態に即した数字に置き換えるべきだということです。
何が言いたいかというと、
数学者でもない私が自力で計算するのは諦めました。
そしてさらに調べると、以下に紹介する識者の考察にたどり着くことができました、よかった。
メトカーフの法則での正しいBTCシミュレーション価格
Timothy Peterson氏によると論文「Bitcoin Spreads Like a Virus:ビットコインはウイルスのように広がる」というテーマで、中央銀行や政府の介入なしに、ビットコイン価格はメトカーフの法則によって決定された均衡値に自然に修正され関連性があると考察しています。
ユーザー数増加とFacebook株価上昇が関連しているように、暗号通貨ビットコインの普及と市場価格がゴンペルツ・シグモイド成長関数(ウイルス等の成長を記述するための関数)で説明できるそうです。
以下の通りFacebookユーザー数と株価はメトカーフの曲線通りに推移してるとのこと。
そしてビットコイン価格もアクティブアドレス数とメトカーフ値に沿って推移している。
このメトカーフの法則に沿ったビットコイン価格シミュレーションによると、2028年に底値圏で一億円を超えるとのことです。まじか。
日付 | 理論価格 |
---|---|
2019年12月31日 | 7,283$(約73万円) |
2020年12月31日 | 10,459$(約107万円) |
2021年12月31日 | 21,386$(約215万円) |
2022年12月31日 | 40,731$(約410万円) |
2023年12月31日 | 74,247$(約745万円) |
2024年12月31日 | 131,408$(約1320万円) |
2025年12月31日 | 226,680$(約2270万円) |
2026年12月31日 | 383,323$(約3840万円) |
2027年12月31日 | 637,206$(約6380万円) |
2028年12月31日 | 1,044,715$(約1億円!) |
※表示のシミュレーション価格はその時点での底値圏を指しています。
アクティブアドレスの定義をもっと明確にすると自力でも計算できる基準を見つけられそうですが、また時間があれば…。
BTCのユニークアドレス数増加は理論価格の上昇につながる
振り返ると、2018年ごろのビットコインは下落相場にもかかわらずユニークアドレスは急減せず底堅い推移でした。
2017年・2021年のようにもしユニークアドレスが上昇を続けるバブル相場を経て堅調に維持するのであれば、メトカーフの法則はビットコイン価格の上昇の指標としてこれからも有効かもしれませんね。
法定通貨化で加速するメトカーフ理論
2021年6月にエルサルバドルでビットコインが初めて法定通貨に採択されましたが、国民全員にBTCウォレットアプリをインストールを推奨するなど政策が展開されています。
これによってビットコインのユニークアドレスが増加することになりますが、メトカーフの法則からいえばビットコイン価格が上昇する要因となりますね。
今後も多くの国でBTCが法定通貨になれば、世界規模でビットコインの拡散力が高まります。
イーサリアムにもメトカーフの法則は当てはまる
元ゴールドマン・サックスの著名アナリストRaoul Pal氏によると、ビットコインだけでなくイーサリアムにもメトカーフの法則は当てはまるとのことです。
以下の比較チャートは、左がビットコインのアクティブアドレス数(白い点)とBTC価格を、
右がイーサリアムのアクティブアドレス数(青い点)とETH価格をプロットしたものです。
イーサリアムの長期チャート(対数チャート)にビットコインの長期チャートを重ねた結果、メトカーフの法則に沿ってアドレスの増加率で揃えたもの?っぽいですが、それによるとイーサリアムの価格はアドレス数の増加に合わせてビットコイン価格に追随するように値上がりするということがざっくりとですが語られています。
メトカーフの法則から見て、ネットワークの拡大が価格の上昇につながっているということで、イーサリアムの価格も2万ドル(200万円)に達する可能性があるとのこと。
主要アルトコインであるイーサリアム価格もメトカーフの法則に沿っているということは他の銘柄にも当てはまるかもしれませんね。
BTCチャートにメトカーフ値を表示するインジケーター
TradingViewでメトカーフの法則に基づいて算出して出した数値をチャートに表示するインジケーター(Metcalfes Law – Bitcoin Fair Price)が公開されています。
これを表示すると、おおよそのビットコインのメトカーフ理論価格(紫線と緑線)が一目で分かりますね。
インジケーター開発者によると、2018年以降はメトカーフの理論値が人為的に低くなる傾向があり、その理由としてサイドチェーンやライトニングネットワーク等の導入によりユーザー数に当たる数値が根本的に変化した可能性があるとのこと。
もしくはビットコインの価値が過大評価されている可能性もあるとのことで、メトカーフの線を下回ったら「買い」という風に使うのが適切なようです。
メトカーフの法則とBTC価格のまとめ
メトカーフの法則、つまりネットワークの拡大という観点から仮想通貨(暗号通貨)ビットコインの適正価格を考察してみました。
細かい計算式は分かりませんが、ユニークアドレス(アクティブアドレス)の増加がビットコイン理論価格の上昇に連動しているということはわかりましたね。またTimothy Peterson氏によるシュミレーションによると、以下のようにBTC底値の理論価格が具体的に語られていたので今後のトレードの参考になります。
日付 | 理論価格 |
---|---|
2019年12月31日 | 7,283$(約73万円) |
2020年12月31日 | 10,459$(約107万円) |
2021年12月31日 | 21,386$(約215万円) |
2022年12月31日 | 40,731$(約410万円) |
2023年12月31日 | 74,247$(約745万円) |
2024年12月31日 | 131,408$(約1320万円) |
2025年12月31日 | 226,680$(約2270万円) |
2026年12月31日 | 383,323$(約3840万円) |
2027年12月31日 | 637,206$(約6380万円) |
2028年12月31日 | 1,044,715$(約1億円!) |
この先、2,100万BTCの発行数上限に近づいていくにつれビットコインの希少性は高まっていくのは明白ですし、より身近な決済手段として普及すればBTC保有アドレス数も増加し、需給バランス的にも価格上昇につながるでしょう。では2028年に答え合わせしましょうかね。
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