EthereumのPoS（Proof of Stake）へのコンセンサスアルゴリズムへの変更がいよいよ目前に迫ってきています。
まだまだ小さな日程変更があるかもしれませんが遅延しても2023年の上期には「The Merge（ザ・マージ）」が実装されて念願のPoSチェーンに移行。
イーサリアムは真の姿へ変貌する予定です。
移行の際に移行される元ののPoW（Proof of Work）チェーンは予定通り放棄される…はず、なのですが、イーサリアムクラシックやビットコインキャッシュのように既存のトークンホルダーに新トークンが付与されるのでは？という見込みが日に日に強くなっています。
実は放棄する予定のPoWイーサリアムチェーンを様々な開発者、取引所やイーサリアムのマイナーが存続させて一儲けしようと企んでいます。
具体的にはETHがPoS化した時にpETH（仮称）というトークンがETHホルダーが配られる図式になると思われます。 私の予想では、PoWチェーンの存続は既定路線になっていると思っています。
今日はなぜPoWイーサリアムの存続が起きる可能性が高いのか。起きた場合の戦略についてを記載します。
そもそもEthereumのPoS化とは？
Ethereumは2015年にローンチされました。Proof Of Stakeという仕組みは初めから構想されていましたが、当時は前例もなく根拠もない実験に大金を出すわけには行きませんでした。
イーサリアムはPoS移行は既定路線
ICOを行い既にビットコインを集めていたイーサリアムの開発陣は、とりあえず動くものをリリースするためにビットコインのコンセンサスアルゴリズムを使用しました。
PoWとしてEthereumが今私達が使用しているものです。
つまり今のEthereumは仮の姿で、最後の変身を残している状態です。
PoWは広がりやすいネットワークと言われています。これはマイナーが設備を投資すれば誰でもマイニングに参加できるためです。
PoSは膨大なトランザクションを処理に適している
PoSは逆に大きさを維持するネットワークだと言われています。
マイナーとしての参加にはイーサリアムの基軸通貨であるETHの保有が求められるだけのため、ネットワークの拡張の爆発力はPoWに軍配が上がりますが、PoSは膨大なトランザクションを効率よく処理するネットワークとしても優れています。
EthereumのPoWチェーンが存続する理由
EthereumはPoWとしてリリースされたものの、いずれPoS化することが決まっていました。
今使っているイーサリアムはあくまでプロトタイプであるのです。
それならなぜ、PoWのチェーンをわざわざ存続する必要があるのでしょうか。 答えは「リサイクル」に近いです。
理由①儲かるから
身も蓋もありませんがこれが最大の理由だと私は思っています。
イーサリアムからイーサリアムクラシックがチェーン分岐したときにもビットコインキャッシュがビットコインから分離したときも同じようなことが起きました。
お互いが正当性や理念などを唱えていましたし、結果的にチェーン分岐の主導者がかなり儲かりました。現金なものです。
そのことをわかって戦略をしっかり固めて相場に挑んだ投資家もかなり儲かりました。ノーリスクで儲かったと感じた人は多いはずです。
しかしながら、煽り気味の宣伝文句を鵜呑みにしてPoSイーサリアムを売ってPoWイーサリアムに交換するのはおすすめしません。というか絶対にやめてください。
もっとも危険な立ち回りです。
PoWイーサリアムが主流となった時のリターンは凄まじく大きいですが、ほとんどの場合には立ち直れないくらいの損をする覚悟が必要です。 儲かるので一部の機関投資家や開発者、コミュニティはPoWイーサリアムを生かして存続させるインセンティブが充分あります。
【追記】7月28日に前回イーサリアムクラシック分裂に協力したイーサリアムの大手マイナーであるチャンドラー・グオが「PoWイーサを分裂させるぜ！」と明言して話題になりました。ここ最近彼は毎日PoWのすごさを熱弁しています。
理由②PoWイーサリアムには今までの実績がある
イーサリアムには7年間PoWで動いてきた実績があります。ICOが流行り、DeFiが流行り、その基盤として暗号資産界の中心であり続けました。
手数料も1トランザクション出すのに5,000円～3万円かかる時代もありました。
イーサリアムの歴史はPoWの歴史です。これをまだ使い続けたいユーザー、マイナー、開発者もいるのではないでしょうか。
単純に賭場になる可能性も高いですが、価値があるチェーンとしてしばらく動き続けるのかな？と思っています。
理由③他にPoWで似たようなプロジェクトがない
他のイーサリアム対抗のプロジェクトだと、WAVESやSOLANAのようにPoSで既に機能しているチェーンが多くPoWであえて勝負しているチェーンが存在しません。
強いて言うならイーサリアムクラシックが唯一の対抗馬となります。
分裂はしないで、イーサリアムクラシックが陽の目を見るという意見をいくつか見ましたがその線は薄いかと思われます。
イーサリアムクラシックは既に死んでしまったプロジェクトです。なにより、イーサリアムクラシックをマイニングするよりも、PoWのイーサリアムをマイニングしたほうが遥かに儲かります。
イーサリアムクラシックは昔のイーサリアムの模倣で、PoWイーサリアムは最新の棄てられたイーサリアムだからです。
どちらに価値があるか、一目瞭然ですよね？イーサリアムクラシックは既に失敗したプロジェクトですが、PoWイーサリアムはまだ成功も失敗もしていない状態です。
【成功していない】と【既に失敗した】には天と地ほどの大きな差があります。
理由④今実際に動いているのはPoWイーサリアムだから
イーサリアムがPoSネットワークで動いたことは、テストネットを除いてありません。今このときも全てPoWで動かしています。
PoWイーサリアムで行われたアップデートには大きく２つに分かれます。
１つはイーサリアム自体の機能のアップグレード。もう一つはPoS化をするためにスムーズにことが進むようにドッキング機能を前もってつける作業です。
逆に言うならば、イーサリアムがドッキングをしない未来が存続するわけで、今まで続いてきた、みんなが使ってきたイーサリアムを続けられない理由を回答できる人はいないのではないでしょうか。
理由⑤イーサリアムのマイナーがノーリスクで儲かるから
イーサリアムのマイナーは基本的にはPoS化したあともイーサリアムのネットワーク維持を行っていく予定です。
PoS化したあとはそこまでパワーのあるコンピューターを使用する必要がないです。
しかしながらマイナーは企業であるケースが殆んどで、資産として持っているマイニング設備を「PoS化したので明日から使いません！」とはならないです。
ハッシュパワーを提供できる以上、このハッシュパワーを使ってギリギリまで稼ぎたいというのが本音です。
イーサリアムのマイニング設備は専用のASICSが普及しているビットコインには使えませんし、ライトコインやイーサリアムクラシックを今更採掘するよりも、似たような仕組みを持つPoWイーサリアムを作り出し、それに価値を付ける補助をすればPoSイーサリアムに続くチャレンジとして希望があると考えている裏返しでもあると思います。
EthereumのPoWチェーン化のリスク
ディフィティカリティボム（難易度爆弾）
イーサリアムにはディフィティカリティボムと呼ばれるプログラムが実装されています。
これはPoWイーサリアムのマイニングが時間経過によってどんどん難しくなっていく仕組みです。最後には採掘でマイナー全員が赤字になるくらい採掘難易度が上昇します。
これはPoWイーサリアムを使用するインセンティブを消してしまいPoS化を確実にするために実装がされました。
PoWに残りたいであろう既存マイナーを諦めさせる施策の1つとなっています。 逆に言えばディフィカリティボムをPoWイーサリアムから取り除いてしまえばPoWイーサリアムが直ちに停止する理由はありません。
マイナーがいる限りは存続できます。 つまり、まだまだしばらくはPoWイーサリアムは使い物になります。
全てのマイナーがPoW化を支援するわけでもないので、全体的にマイナーの減ったPoWイーサリアムで過半数のマイナーが合意をしてしまえば後から除去するようにアップデートすることも可能です。
既存のDappsやL2の対応
PoWイーサリアムが使われた場合に、基軸通貨のETH以外の取り扱いが問題になります。
前述しましたが、現実の資産の後ろ盾のあるステーブルコインやなんらかの後ろ盾を持つトークンはほとんどその価値を失います。
NFTもブリッジ出来ないのでそのまま残りますしPoS化に備えてステークされていたETHはそのまま死蔵になります。
L2やDappsのアプリケーション等、どこまで各アプリケーションの開発陣がb追随したりサポートしたり、どこか別団体が開発を続けるのかが不透明ですが、一応L1のプライベートウォレットにETHをおいておけば恩恵は受けられると思います。
UNIやMKR等のトークンはPoWイーサリアムでUNISWAPがまだ使われるなら価値が残るはずです。
もしメイン所のDappsがPoWイーサリアムでの活動を停止してもまず間違いなく類似サービスが出てくると思われます。
コピペサービスは今までいくつも出てきていたので大きいライバルがいない状態での参入は有利になるからです。
ERC20トークンやNFTはどうなるの？
ERC20トークン
USDCやUSDT等の実際の資産で裏付けがあるトークンがPoWネットワークでは無価値となります。
UNIやMKRなどのトークンは実際にUniswapやMakerDAOがPoWイーサリアム上で動き続けた場合には価値が多少は存続すると予想されます。
NFT
NFTは基本的に全て残ります。PoSイーサリア厶上にも移行されるのでL1イーサリアムでNFTを保有している人はNFTがそのまま複製されると考えて大丈夫です。
ERC721でこちらは自動的に消えません。PoWイーサリアムはそのまま放棄される予定だったためです。放ってけば消えるものの削除方法等考えてなくて当たり前です。
しかしながらそれが本物か？と呼ばれると強い疑問を持ちます。OPENSEA等が権威付けをしなかったらただのコピー品です。価値がつくかは微妙なところですが、NFTとしてはPoWイーサリアム上で存続します。
PoS化に関連したトークン
LidoのstETHやRocketpool、ETH2.0に先行ステーキングをしたETHは全て死蔵になります。
PoS化されなかった未来に生きることになるこれらのトークンはもう戻すことは出来ないのでバーン（焼却）扱いになります。
EthereumのPoWチェーンが存続した場合の個人戦略
海外取引所に保有イーサリアムを移動させる
海外取引所ではフォークされたコインに対して付与される事が多い印象があります。
というか国内取引所だと付与が遅かったり、そもそも付与されなかったりします。
コインチェックはビットコインのフォークコインの1つ、ビットコインゴールドを配布するとアナウンスしたのに未だ音沙汰なしです。
古株のPoloniexでは既にPoWイーサリアムトークンの付与を約束しましたし取引所のUI上にもPoWイーサリアムとPoSイーサリアムの２つが現れています。
存在は既定事項だと大手取引所が準備している事実は個人投資家として考慮せざるを得ないですね。
もう一つの代表格Binanceではフォークコインはよほど規模が小さいものを除いて付与されている印象があります。と言うか昔はハードフォークコインは全てサポートしてると言ってた気がします。
今までは分岐してすぐに取引が出来るようになっているのでその実績から見ると安定なのかな？と思います。
イーサリアムを預けていれば結構な確率でPoWイーサとPoSイーサが付与されるはずです。
仮想通貨の現物取引からデリバティブ・先物も豊富な銘柄。使いやすいUIでユーザーも増え出来高は世界上位の実力。ステーキングなど資産運用、公式アプリも高品質。
仮想通貨の現物取引からデリバティブ・先物も豊富な銘柄がある。コピートレードに力を入れており、公式アプリも使いやすい。
Trust等のプライベートウォレットに保有イーサリアムを移動させる
プライベートウォレットに移動しておけば、少なくともPoWイーサがもらえないということはありません。秘密鍵は同じになるので自分で取り出すことが出来るからです。 個人のイーサ保有者にとってはもっとも安全性が高く、かつ柔軟性があるムーブになります。
ハードウェアウォレットにおいておくとなお安心です。 間違えてもAvalanche等のL2やDappsに入れないようにしましょう。アプリケーションがサポートされなかった場合にせっかくの資産が操作不可能になり実質GOXになるリスクが常に付きまといます。
L1のイーサリアムチェーン上に保管しておきましょう！
国内取引所やレンディングに預けたままにする
リスクはありますが、PoWイーサがそこそこ、少なくともETC以上の時価総額が見込めそうなので付与しないということがない気もします。
しかしながらハードフォークコインを付与しないことに関しては取引所の自由になります（付与しなくて取引所の収益にしても問題ない）のであまり選びたくない道です。
上場させるか、コインだけ付与して市場を提供しないのも取引所の自由です。
PoWイーサに対応するかしないか、各取引所のアナウンスを見て判断するようにしましょう！ あくまで参考ですが、Hashhubレンディングでは「誕生するかわからないものの、顧客利益を守る選択を行う」と利用者向けメールに記載されていました。スタンスとしてはこういうところが多そうです。
先物取引でうまく立ち回る
もし短期取引に自信があるなら先物取引でうまく立ち回るのも手です。
ハードフォークされたコインの場合にはフォークされる側のコインと時価総額をシーソーゲームをしながら徐々に価値を切り下げていくのが定説になっています。
そこを見極めながら波に乗れれば大きな収益を目指すことが出来ます。
普段よりトレードがやりやすいので先物取引を始めるには絶好のタイミングでもあります！
もちろん再現しない可能性もあります。上下する相場になることは間違いなさそうなので、様々仮説を立てて大相場に挑みましょう！
税務上のイーサリアムの考え方
今までの取得単価を引く継ぐのはPoSイーサリアムの方です。
PoWイーサリアムがフォークコインとして取得単価0で付与された扱いになります（注意:筆者は税理士ではないため詳細や公式見解については国税庁のWEBサイトや税理士に相談を行ってください。当表記について筆者は一切の責任を負いません）
PoWイーサリアムからPoSイーサリアムに移行するので一見逆のように思えます。
しかしながらイーサリアムクラシックが分岐したときには新しくロールバックしたイーサリアムが正当なイーサリアムとして取得単価を引き継ぎ、The DAOが大規模ハッキングされたイーサリアムクラシックチェーンがフォークコイン扱いとして０円で取得扱いとなった歴史があります。
したがって順当に考えるならPoWイーサリアム、pETHがフォークコイン扱いになるのではないでしょうか。
まとめ:イーサリアムPoWはお祭り騒ぎになる可能性が高い!?
私ライトコイナーKENの予想としては、PoWイーサが誕生するのはもはや必然です。
世界の取引プラットフォーム（ワールドコンピューター）を目指すイーサリアムが到達する1つの大きなターニングポイントですし、イーサリアム自体のビックニュースでもあるため現物のイーサを新規保有、買い増ししても良い、絶好のタイミングであると考えています！答え合わせは早くて2022年9月！楽しみに準備を続けます。
コメント欄