コロナウイルス対策の経済停滞による世界恐慌真っただ中ですが、今回ビットコインと伝統的金融商品であるS&P500(SPX)指数やダウ平均、そして金との相関性に注目が集まっています。
今までは世界経済の外にいたリスクオフ資産的位置づけだったビットコインも、時価総額の増加・金融商品としてのメジャー化から、指数の影響を受けざるを得なくなったと見られています。
単純に暴落相場の退避先として選ばれるのではないとすれば、今後ビットコインのトレードでどのように立ち回ればいいのか?当記事で指数対策のトレード手法を紹介します。
参考海外記事:BitMEX Research
S&P500(SPX)指数とは
S&P500(Standard & Poor’s 500 Stock Index、スタンダード&プアーズ ファイブハンドレッド)とはアメリカの代表的な株価指です。ティッカーシンボルは「SPX」
ニューヨーク証券取引所、NYSE MKT、NASDAQ上場銘柄から主要産業を代表する500株価の時価総額加重平均で算出した株価指数で、米国株式市場の時価総額約75%をカバーしています。
S&P【数字】というのはいくつかあるがS&P 500が最も代表的で、機関投資家の運用実績を測定するベンチマークとしても認識されています。
ダウ平均株価とS&P500(SPX)の違い
NYダウ平均株価(DJX、DJI)の正式名称は「ダウ・ジョーンズ工業株30種平均」と言い、アメリカの代表的な工業株30種の株価を平均して算出したものです。S&P 500と同様にBTCに一定の相関性があります。
算出方法 | 構成銘柄数 | |
---|---|---|
S&P500 | 時価総額加重平均型(TOPIX、NASDAQ等) | 500 |
NYダウ平均 | 株価平均型(日経平均など) | 30 |
ダウ平均とS&P 500は算出方法や構成企業数も違うが、親戚のような指数だと思っておいて問題ないと思います。
S&P500(SPX)とビットコイン価格の相関性
S&P500とビットコイン価格の相関関係を見ると、過去2012年からの動きを振り返っても相関関係が確認できます。
下のチャートが示すように、相関関係は-0.2から+0.2の範囲を大きく外れたことはなく、相関が確かにあることが示されています。
金(ゴールド)価格とビットコインの相関が強い時
ビットコイン価格に対するS&P500指数と金価格に注目すると、何度か高い相関関係にある時期があることがわかりました。
2013年3月のビットコイン価格上昇では、当時キプロス金融危機によってビットコインと金価格との相関関係が上昇しました。
2016年のビットコイン暴落後にも、経済要因と政治不安(中国の景気減速、Brexit、トランプ大統領の当選)によってビットコインと金価格に相関が再び起き、ともに堅調な値動きとなりました。
つまりビットコインは金と同じようにリスクオフ資産と見られていた傾向がありました。
最近BTCはS&P500など株価指数に相関が高い
最近のビットコイン価格の上昇局面では、ビットコインとアメリカ株価指数(S&P500・ダウ平均等)の価格相関係数が記録的な高水準(ほぼ0.25)に達しており、このコロナショックで見えてきたのは、ビットコインにもリスクオン資産の特性が出てきたということです。
ビットコインの時価総額が上がりメジャーな金融資産として認知されるにつれ、多方面の投資家から投機される傾向にある為、メジャーな投資商品と関連が強くなってきていると言えます。
更に、以下のチャートを見ると分かるように最近ではビットコインと金との価格相関が以前よりも薄いという指摘があります。
過去2018年頃からのビットコイン価格とS&P500のチャートを見ると、強い相関関係が示されています。
2017年相場で比較してみると、株式市場(S&P500)がピークを迎えたのは2018年1月末(ビットコインは2017年12月)、大底はともに2月でした。大局でも相関が確認できます。
2017年以前のビットコインは、ゴールドのようにリスクオフ資産と連動する傾向が強かったが、2017年以降は株価指数などリスクオン資産に連動する傾向が強まったと見ることもできます。
この相関関係はこれからも変化していく可能性があるぞ。
ビットコインも株価も、毎年1~2月に一年の最低価格をつける傾向があるというアノマリーは別記事で既に検証しているので、他のアノマリーも見たい方は以下の記事を読んでみてください。
株価指数を先行指標と見るビットコイントレード手法
世界の株価指数の動きをみてトレード
S&P500やダウ平均株価が先行して動く場合、ビットコインもそれに追従する可能性があるとみて、併せてトレードする方法が有効だと考えます。
原油価格の動きを見てトレード
いわゆるコロナ相場では、サウジアラビアが仕掛けた原油の価格競争が深く関わっています。最も安い原価で原油を掘ることができるサウジの価格引き下げに世界の産油業界が翻弄されている訳ですが、このような時には、原油価格の上昇(下落)が株価指数の上昇(下落)に寄与する可能性が高いです。(原油価格が上がると米国のシェールオイル関連企業が影響を受けるため)
ということで原油チャートも見ましょう。TradingView銘柄名は「WTICOUSD」です。
ちなみにビットコインFXは簡単に登録できるBitMEX(ビットメックス)をオススメしています。
主要株価をチェックできるツール(サイト)
TradingView(トレーディングビュー)
TradingViewはトレードに欠かせない最も支持されているチャートツールです。
S&P500(SPX)、ダウ平均(DJI)、原油(WTICOUSD)、金(XAU)などすべての詳細なチャートをチェックできます。
世界の株価
あらゆるメジャーな金融商品の値動きを包括的にチェックすることができるので、ビットコインをはじめ世界経済の市場がどのような状態なのかいち早く把握することができます。
コロナショックのパニック相場では他市場の影響も見なければいけなかったのでこの「世界の株価」がとても便利でした。→世界の株価
指数先物イナゴフライヤー
データ量が多いので重いですが、Bond(米国債)・為替・ゴールド・オイルなどの大きな成行売買を把握できるのでかなり使えそうです。
まだテスト中とのことで仮想通貨のイナゴフライヤー(いなごFlyer)のように機能するかは不明。→指数先物イナゴフライヤーβ版
S&P500指数を利用したビットコイントレードのまとめ
S&P500(SPX)指数とビットコイン価格の連動から考えるトレード戦略というテーマで記事をまとめてみました。
2016年までは金価格(リスクオフ資産)と相関が強かったビットコインですが、数千億ドル規模の評価額まで上昇した際に、メジャーな金融商品になるにつれてアメリカの株価指数(S&P500などリスクオン資産)との相関関係が高まり始めました。
S&P500やダウ平均が先行して上げている時には、ビットコインもつれ高になる傾向があるので先行指標として利用できること。
また株価指数の先行指標として、今のところ原油価格の動きも参考にできます。
ビットコインの時価総額がこのまま上昇していく限り、世界の金融システムの重要な一部となり、伝統的な金融商品との相関性が高まることは避けられないでしょう。
ビットコインが新しい資産の概念を生み出すほどに主導権を握るようなことがあればまた違うシナリオが考えられますが、それはまた別の記事で。
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