ビットコインFXに勤しんでいる仙人ですが、白状します。
そもそもビットコインFXという商品は実は存在しないんです。
ビットコインFXという名は、日本だけで使われている業界用語みたいなものです。
ビットコインFXに相当するものを世界的には以下のように呼びます。
または
Bitcoin margin Trade(マージントレード:証拠金取引)
またビットコインFXに該当する金融商品は主に以下2つに分類されます。
- ビットコイン限月先物(四半期先物)
- 無期限契約
ビットコインFXは、ここ数年で仮想通貨市場に大きな影響力を持ちました。
特に、BitMEX取引所が発明した無期限契約(Perpetual Swap Contract)は、ビットコイン価格の値付け、推測に重要な役割を果たしていると市場で認識されており、結果としてビットコイントレードの多くの出来高シェアがあります。
今ではBitMEXをはじめ、OKEXやBybitなど様々な取引所もビットコイン無期限契約の仕様を取り入れていますが、今回は取引高が多い主要取引所を比較し、トレードを有利に運ぶ為の違いについて解説を加えていきます。
ビットコイン無期限契約とBTC先物の違い
ビットコイン無期限契約(Perpetual Swap Contract)は、従来の金融市場においては有効期限や決済日の存在しない先物契約「CFD(差金決済取引)」として知られています。
ビットコイン限月先物(四半期先物)と違うところは、取引価格を現物価格と連動させる為に実装されている資金調達率(Funding rate)というスワップの仕組みがあるということです。
無期限先物 | 限月先物 | |
---|---|---|
レバレッジ | あり | あり |
差金決済間隔 | 数時間毎 | 決済期日毎(月単位) |
差金決済方法 | スワップ支払/受取 | ポジション全決済 |
現在は、ビットコイン限月先物よりも無期限契約のマーケットシェアの方が高く、取引所別出来高シェアは以下のグラフのように、BitMEX、Binance、Bybit、OKX、bitFlyerが目立っています。(bitFlyerは無期限契約ではないので今回は除外)
資金調達率の仕組みと違い【取引所別】
資金調達率(Funding rate)は、売り手と買い手の双方に対する支払いと受け取りであり、スワップという取引価格を現物価格と連動させる為の仕組みです。
資金調達率の仕組み
取引所ごとに定められた資金調達時間になると、ロング(またはショート)ポジション保有者からショート(またはロング)ポジション保有者への支払いが起きます。
資金調達率がマイナスの場合、ショート側がロング側に保有ポジション量に応じた金利分を支払い、資金調達がプラスの場合、ロング側がショート側へ同じように支払います。
ロング側 | ショート側 | |
---|---|---|
資金調達率が+ | 支払う | 貰える |
資金調達率が- | 貰える | 支払う |
無期限契約の価格がインデックス価格(現物価格)よりも低い場合、ロング側が金利の受け取りになることでロング需要を強化し、価格を上昇する方に働きかけます。
無期限契約の価格がインデックス価格(現物価格)よりも高い場合は逆のことが起こるという訳です。
各取引所の資金調達間隔と証拠金通貨
ビットコイン無期限契約の出来高上位取引所の、資金調達間隔と証拠金通貨の違いを一覧にしました。
取引所 | 金利間隔 | 証拠金 |
---|---|---|
BitMEX | 8時間 | BTC |
Binance | 8時間 | USDT |
Bybit | 8時間 | USDT,BTC |
FTX | 1時間 | BTC |
Deribit | 8時間 | BTC |
OKX | 8時間 | USDT |
日本人も登録できるFTXを除くほぼ全ての取引所で8時間毎の資金調達支払い時間となっています。以前は4時間毎の取引所もあったんですが、いつのまにか8時間になっていますね。
また、証拠金はBTCが基本でしたが、最近はUSDTの証拠金需要も高まっています。近年のビットコインチャートの動きから暴落に巻き込まれたくないというトレーダー心理が反映されていると言えます。
長期的に見た資金調達率の差【取引所別】
決済通貨、資金調達時間、インデックス価格の参照元、流動性など複数の要因によって、各取引所の無期限契約では異なる資金調達率になります。
Deribit insightによると、2019年9月1日から11月21日までの期間で、年率に直すと平均14~26%のプラスの資金調達率になっています。BitMEX、Deribitの年率換算した資金調達率は14%で最低だったのに対し、OKEXは18%、Bybitでは30%を超えていました。
つまりロングが支払い・ショートが受け取りという状態がどの取引所でも共通していたということですね。
2019年11月18日から12月9日のBitMEX、Bybit、FTXの月間資金調達を合計し比較すると、FTXの資金調達率はBitMEXに比べて低く、BybitはBitMEXより高かったとのこと。(FTX<BitMEX<Bybit)
一貫してBybitの資金調達率はロング支払い、ショート受け取りが強い傾向にあったということがわかりますね。
以下insights.deribit.comが集計した各取引所の特定期間の資金調達率の合算グラフです。
ビットコインの長期トレード(数日以上ポジションを持つスイングトレード)をする場合、無期限契約のファンディング(資金調達率)はかなり多くの損益率を占める要素になってきます。
特に、ビットコインの上昇相場で過熱感がある時に、ロングポジションを保持する場合、つまり相場に順張りする場合は、資金調達の支払い額は平常時よりかなり高くなってきます。
なのでビットコイン無期限契約でトレードする場合には、
いかに資金調達の支払いを回避し、資金調達の受け取りを享受する方向にポジるか
という戦略の調整が求められます。
レバレッジと証拠金維持率の違い【取引所別】
証拠金維持率とは、信用取引において、ポジションを保有し続けるためにアカウントのウォレットに入っている必要がある最低証拠金率のことです。
海外のビットコイン無期限契約を提供しているほとんどの取引所は100~125倍の大きな最大レバレッジを提供していますが、維持率は清算プロセス発生の重要な役割であり、大きな値動きが起きた際に、どれくらいのポジションサイズで取引に参加できるかに影響します。
取引所 | 最大レバ | 維持率 | 許容サイズ |
---|---|---|---|
BitMEX | 100倍 | 0.25% | 100BTC |
Binance | 20倍 | 0.6% | 5万USDT |
Bybit | 100倍 | 0.5% | 150BTC |
FTX | 20倍 | 0.4% | 特になし |
Deribit | 100倍 | 0.45% | 100BTC |
OKX | 100倍 | 0.5% | 20万USDT |
いくつかの取引所、一例としてBinanceでは、レバレッジ125倍で保有できる最大ポジションは50,000USDTまでになっています。
BitmexとDeribitでは、レバレッジ100倍で保有できるのは100BTC分のポジションまでとなっており、OKExでは20万ドル分のポジションまでになっています。
つまり、それ程度以上の大きなポジションを持つためには、より多くの証拠金が必要になります。
ビットコイン無期限契約のまとめ
ビットコイン無期限契約とBTC先物の違いについて、勝ちやすい海外取引所を比較考察ということで【BitMEX、Binance、Bybit、FTX、Deribit、OKEX】など主要取引所のデータを引用しつつまとめてみました。
現在無期限契約は、主要な海外取引所だけでなく多くの新興仮想通貨デリバティブ取引所でも提供されており、メジャーな金融商品となりつつあるので、今回改めて詳細に解説してみました。
ただし、取引所によって細かいルールに違いがあります。各取引所の無期限契約の特徴に合わせて、トレード戦略に工夫のしようがあるかもしれませんね。
コメント欄