幅広い金融商品に有効でビットコインFXでも有効に使われ、短期トレーダーの必須テクニカル指標とも言われているオシレーター系指標「移動平均乖離率」についてご紹介します。
読み方は、剥離(はくり)ではなく、乖離(かいり)ですよ。
移動平均乖離率を利用した逆張り手法は、移動平均線を用いたトレード手法の中でもメジャーで、参考にしている上級トレーダーも意外と多くいます。
たくさんの人が見て意識している移動平均線を基に指数を算出しているので、移動平均乖離率を使った短期売買は機能しやすいのです。
当記事を読めばすぐにこの移動平均乖離率を使いこなせるようになります。
移動平均乖離率とは
移動平均乖離率(いどうへいきんかいりりつ、英語名:Moving average deviation rate)とは、価格が移動平均線からどれだけ離れ(乖離し)ているかをパーセンテージ(%)で数値化し「買われすぎ」や「売られすぎ」を判断するシンプルなオシレーター系指標です。
「移動平均」という文字が含まれていることから、トレンドフォロー型のテクニカル指標と誤解されることが多いですが、実はオシレーター系のテクニカル指標です。
移動平均線に対する価格の乖離はやがて収束し修正されるという考えに基づいています。
※移動平均線は一定期間の終値の平均値を計算し、その数値を線にしてつなぎ合わせたもの
移動平均線だけで売買の判断を行うと、価格が急変動した場合にトレンド転換の判断が遅れてしまう、といった事を改善する狙いで作られたのが移動平均乖離率です。
チャートが移動平均線と同じなら乖離率は0%。
移動平均線よりも上にある場合を「上方乖離」、
移動平均線よりも下にある場合を「下方乖離」
といい、移動平均線から何%乖離しているかで価格がどう推移していくかのヒントになります。
上昇トレンド時に移動平均乖離率はプラスに、
下降トレンド時にはマイナスになります。
一般的には、25日移動平均線から以下の%を基準にしています。
- ±5%以上になると相場が目先調整局面を迎える。
- ±10%以上になると天井(天底)になる。
という判断がされ短期的な逆張りトレードで主に使われます。
ただ、パーセンテージを時間足も考えながらトレードしないと、ダマシも発生するので読み誤ってしまいます。
非常にシンプルな指標なので、短い時間足ではダマシが多く、日足など比較的長い時間軸で機能する印象があります。
25日移動平均乖離率が最も使われています。
移動平均乖離率を使ったトレード手法
移動平均乖離率の売りシグナル
チャートが移動平均線から上に大きく離れると、乖離率もプラス(+)に大きくなるので売りサインとなります。+5~10% の乖離が目安です。
移動平均乖離率の売りシグナル
チャートが移動平均線から下に大きく離れると、乖離率もマイナス(-)に大きくなるので、買いサインとなります。-5~10% の乖離が目安です。
25日移動平均乖離率がよく使われる
特に25日移動平均乖離率(25日移動平均線からどれぐらい離れているのか)を使っている人が多いです。
相場が急変動してチャートに過熱感が出ると、必ずと言っていいほど25日移動平均線に向けて、急激な値戻り(リバ・値戻り)が発生します。
その値戻りを短期的な逆張りトレードで狙うというのが一般的なトレード戦略です。
※大局的なトレンドとは反対の動きを狙うので、あくまでも短期売買だけを狙いましょう。
移動平均乖離率は相場状況により調整する
上昇・下落トレンドを問わず、価格チャートと移動平均線との乖離幅については、設定する移動平均線の数値や相場状況によって変動的です。
過去のチャートの値動きの乖離率の動きから適した数値を判断します。
例えば、過去の乖離率が-5%~+5%の範囲で推移しているなら、乖離率が+5%付近で天井を付けたら「売り」、-5%付近で底打ちしたら「買い」というふうに判断します。
直近のチャートの値動きのパターンを意識するということです。
移動平均乖離率をビットコインFXで表示・調整する方法
ビットコインFXのbybitの標準チャートツールには移動平均乖離率がありません。
なので、TradingView本家のサイトでビットコインチャートを表示して以下のように選択して下さい。
「インジケーター」→検索窓に「Moving average deviation rate」と入力→「Moving average deviation rate」を選択する。
移動平均乖離率がサブチャートに表示されます。
以下を見ると移動平均乖離率とボリンジャーバンドを組み合わせたインジのようです。
移動平均乖離率を調整する
移動平均乖離率は以下の操作で変更できます。
インジ名をクリック→設定→「Moving Average Period」→OK。デフォルトでは21日になっていましたが、25が一般的です。チャートを見て、効いていると思う数値を使えばいいと思います。
移動平均乖離率を使う注意点
レンジ相場よりトレンド発生時が得意
このインジはオシレーター系の指標であるので、チャートと移動平均線が緩やかに並行して動くレンジ相場のような場合、つまり移動平均線が収束していて目立ったトレンドが発生していない時は、移動平均乖離率は横ばいとなってしまいます。
このような時、移動平均乖離率はあまり有効に機能しません。
トレンドが発生していてボラティリティがある方が使えるオシレーター指標です。
上限や下限がないので過去チャートを参考に
移動平均乖離率は、上限、下限の数値が決まっているわけではないので、変動によって上限下限の数値が変わってきます。
なので、過去のチャートからある程度の数値を予測して、銘柄にあった反発ラインとなっている乖離率をみてエントリーや利確ポイントの根拠を決めましょう。
その他の指標を併用するべき
移動平均乖離率は、性質的には「RSI」や「MACD」のようなオシレーター系指標に属すので、基本的に逆張りトレード戦略がメインです。
順張りのエントリーポイントを探す場合、他の指標も併用しなければ勝つことは難しいでしょう。
移動平均線乖離率の要素を取り入れたエンベロープというテクニカル指標をスキャルピングで併用するのもオススメです。
ファンダメンタルズに注意
移動平均乖離率は逆張りの指標です。
ビットコインやリップルの仕手上げ、またはファンダメンタルズ(情報・ニュース)による大きなトレンドが続いている銘柄は、乖離と関係ない動きをすることもあるので、安易な逆張りはリスクが高くなります。
日経平均を移動平均乖離率でトレードが王道?
個々の銘柄を使って、過去1~2年の移動平均乖離率の上限、下限に目星をつけ逆張りポジションを持つというのが移動平均乖離の基本戦術です。
ただ、日経平均に採用されている225銘柄は日本を代表する企業であり、これらの銘柄に対して移動平均乖離率を使った短期売買を行う場合、日経平均株価の移動平均乖離率の上限・下限が参考になるという定説があります。
日経平均株価と25日移動平均線との乖離が、
5%を超えたら注意、8%で警戒、10%で天底(底値)近くとされています。
※あくまでも目安なのでこの通り動くとは限りません
つまり日経平均採用銘柄を売買する場合、移動平均乖離率の上下±10%乖離が売買ポイントになります。
まとめ
移動平均乖離率を使った逆張りトレードをビットコインFXを中心に解説してみましたがいかがでしたか?
移動平均乖離率は、FXだけでなく日経225先物などでもよく使われていますが、「ストキャスティクス」や「RSI」という指標を併用して、根拠が強いと判断したトレードのみを行うことがポイントです。
そして、エントリーする前に建てた仮説と逆行してシナリオが崩れたら素早く損切り、シナリオ通りに動いたら利益を伸ばす「損小利大」のトレードを心がけましょう。
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