チャートでは様々なテクニカル指標を使うことができますが、今回は代表的なインジケーターである「MACD(移動平均収束拡散法)」の設定方法とトレード方法を、ダイバージェンスの具体事例なども交えてご紹介したいと思います。
MACDの読み方は「マックディー」です。覚えやすいですよね。
ビットコイン価格チャートでも、MACDはかなり有効に機能します。
最も押さえておきたいオシレーター系のインジケーターといっても過言ではないでしょう。
ビットコインFXで活躍するインディケーターの組み合わせも記事末にまとめています。
MACDとはどんなテクニカル指標か
MACDは使いやすく広く使われているテクニカル指標の一つで、移動平均線をより高精度に分析するため1979年ジェラルド・アペルによって考案されました。
「Moving Average Convergence/Divergence Trading Method」の略で、直訳すると「移動平均収束拡散法」という小難しい感じですが、
MACDを一言でいうと、短期移動平均線と長期移動平均線の差からトレンドを判断するインジケーターです。
移動平均線よりも売買判断のタイミングが格段に速いという利点があります。
上の画像でTradingViewでデフォルトで表示される設定でみてみましょう。MACDには3つの要素があることがわかります。
- MACD線(便宜上、短期移動平均線とみることもある)
- MACDシグナル線(便宜上、長期移動平均線とみることもある)
- ヒストグラム(補助的に使う強弱基準)
この3つの要素を視覚的にみて相場の変化をいち早く察知していきます。
MACDの設定方法と見方
MACDは主に以下のような使い方ができます。
MACDとシグナルの位置・傾き・幅
緑色の〇の部分です。MACD(≒短期移動平均線)がシグナル(≒長期移動平均線)より上で上向きであると上昇トレンド、下にあり下向きであると下落トレンド、MACDとシグナルの線の幅が大きければ大きいほどトレンドに勢いがあることを表しています。
ゴールデンクロス・デッドクロス
MACDとシグナルの交差が売買ポイントになるという見方です。
MACDがシグナルを上抜けるとゴールデンクロス(買いシグナル)、MACDがシグナルを下抜けるとデッドクロス(売りシグナル)と見ることができます。
0ゼロライン
MACD(≒短期移動平均線)とシグナル(≒長期移動平均線)が0以下にあるか以上にあるかも重要です。
MACDとシグナルが0以上にあると上昇トレンドのの継続、0以下にあると下落トレンドの継続を意味します。
ヒストグラムの色と大きさ
ヒストグラムは視覚的な補助機能だと思ってください。ヒストグラムはMACD(≒短期移動平均線)からシグナル(≒長期移動平均線)をマイナスすることで算出されます。
0ライン下でゴールデンクロスすると上昇トレンド=緑、
0ライン上でデッドクロスすると下落トレンド=赤、
MACDとシグナルの線幅が大きくなればヒストグラムも大きくなり、売買シグナルが分かりやすくなっています。
MACDの計算式
MACDに用いられる移動平均は「単純移動平均(SMA)」と「指数平滑移動平均(EMA)]があります。以下の計算式で算出されます。
MACDシグナル=MACDの単純移動平均線(SMA)
ヒストグラム=MACD-シグナル
なにやら難しそうですがMACDの計算式の肝は 短期移動平均線-長期移動平均線ということです。
MACDの一般的な設定数値
MACDの一般的な数値は以下に設定されていますが、ビットコインの場合は調整してもいいかもしれません。
ビットコインFXにおいてのMACDの数値は、0を基準として±100くらいの幅で動きます。
ドル円などの為替相場のMACDは±1くらいなので、ビットコインFXの動く値幅の大きさは為替などのチャートに比べて100倍くらい大きい、ということが数値的にわかります。
MACDでトレンドの転換点をいち早く察知する
短期移動平均線と長期移動平均線の広がりの差を見ることで早い段階で「トレンドの転換」を察知することができるのがMACDです。
0ラインと線の位置でトレンドを判断
MACD(≒短期移動平均線)が0以上、かつMACDがシグナル線(≒長期移動平均線)より上であれば上昇トレンドを意味します。
短期移動平均線が長期移動平均線を上回っている時は、ビットコインチャートの上昇トレンドが強いことを意味しており、この時のMACDの値はプラス(+)になります。
反対に、MACDが0以下(マイナス)、かつMACDがシグナル線より下であれば下落トレンドを意味します。
ゴールデンクロス・デッドクロスの位置にも注目
MACD(≒短期移動平均線)がシグナル線(≒長期移動平均線)を上抜くことをゴールデンクロス、MACDがシグナル線を下抜くことをデッドクロスと呼びますが、ゴールデンクロスが0ライン以下で起きる・デッドクロスが0ライン以上で起きると信頼度が上がります。
デッドクロス+0ライン以上=上昇→下落トレ転期待値大
つまり逆張りの買いサイン・売りサインのシグナルとして使うことができます。
トレンドの継続を判断する
MACD(≒短期移動平均線)とシグナル線(≒長期移動平均線)がゼロラインで交差することは「トレンドの継続」を判断する重要なサインとなります。
2本の線がゼロラインを上抜いた時には上昇トレンド継続、
下抜いた場合は下落トレンドの継続を意味します。
【MACDは長い時間足で信頼度が高い】
時間軸の長い日足レベルのチャートで、MACDによるトレンド転換点は正確に現れる傾向にあります。
分足など短期間のチャートではゴールデンクロスやデッドクロスがダマシに終わってしまうことも多いので注意しましょう。
MACDのダイバージェンス
ダイバージェンスは「相違がみられること」という意味で、相場のトレンドとテクニカル指標のトレンドが逆行していることを意味しています。
MACDでのダイバージェンスは、相場が上昇トレンドなのに、MACDのトレンドラインが下降トレンドを示しているような時です。
MACDのダイバージェンスは相場の大きな転換ポイントが来ることを暗示している可能性があり、テクニカル分析において重要な現象です。
MACDのダイバージェンスはよく効く
以下のビットコイン(BTCUSD)週足チャートではMACDがダイバージェンスを形成した時に大きな反発が起きていることが分かります。
ダイバージェンスのトレンドラインとでもいいましょうか。ビットコインが近い将来大きく反発上昇することを示唆しています。※実際に急上昇し予想的中
いつ反発するのか、具体的な日時までははっきりと分からないので、「近いうちにトレンド転換が起こる」という見立てをすることができます。
具体的な反発時期の予測には、フィボナッチ・タイムスケールやチャートパターン分析の併用が有効です。
他のテクニカル指標と組み合わせて使うと確度が高まる
MACDと併用すると相性がいいインジケーターをご紹介します。
MACD×ボリンジャーバンド
MACDの他に有名なテクニカル指標としてボリンジャーバンドがあります。
MACDとボリンジャーバンドはオシレーター系指標とトレンド系指標という組み合わせなのですが、お互いの欠点を補い合う働きをする指標となっています。
MACDはトレンドの転換点を把握するオシレーター系指標ですが、
ボリンジャーバンドは上下のバンド帯で買われ過ぎ、売られ過ぎを判断するトレンド系指標です。
この二つを組み合わせることで、トレンドの転換点とそのトレンドの強さ(安定さ)を測ることが出来ます。
実際に検証してみましたが、MACDのクロスでエントリーサイン、ボリンジャーバンドの上下弦タッチで利確、という使い方が合うと思います。
MACD×RSI
MACD×RSIの場合も相性がいいです。
MACDよりもRSIの方が売買サイン点灯の反応が早いということが分かります。多少ダマシも回避できているように見えますね。
他にも同時にみるテクニカル指標を増やしてもいいですが、あまり多くの指標を同時に使うと逆に判断が鈍るので使う指標は少数に絞ってくださいね。
MACD×ストキャスティクス
MACDとストキャスティクスは売買サインのタイミングが一致しやすいですが、ストキャスティクスの方がレンジ相場(ボックス相場)でダマシが起きにくいと言われています。
MACDで買いシグナルが出た場合に、ストキャスティクスで過熱感が出ていない水準であればより確度の高いエントリーが期待できます。
動画でもMACDについて解説しています
TradingViewでMACDを設定する方法
ログインしチャート上に表示されているグラフのようなマークをクリックします。
インジケーターの一覧が表示されるので入力欄に「MACD」と入力すると見つかります。(TradingViewでも操作はほぼ同じ)
追加すると以下の図のようにMACDが追加されます。
MACDの数値を調整する方法
MACDの数値は、インジケーターの「フォーマット」から変更することができますが、基本的には初期設定のままで使えばいいと思います。
MACDインジケータを消す方法
インジケーターの消し方も説明しておきます。
以下のチャート内のマークをクリック。メニュー一番下の「削除」をクリックすると消すことが出来ます。
MACD設定上の注意点
レンジ相場には弱い傾向
MACDはトレンド系指標なので、レンジ相場(ボックス相場)には弱い傾向があります。トレンドがはっきりしたトレンド相場で真価を発揮します。
レンジ相場では別のオシレーター系指標の方が向いています。
長期足で使うことのがおすすめ
MACDは短時間足では更にだましが多く発生する可能性があります。
一時間足以下の短い時間足で見るより、4時間足以上、例えば日足や週足などの長い時間足で使うようにしましょう。
利確ポイントがわかりづらい
MACDはトレンド転換判断できますが、トレンドとトレンドの間のどっちつかずな期間ではあまり機能しないので、 MACD単体では利確(決済)ポイントを決めずらいという欠点があることを意識して使うようにしましょう。
関連記事 BitMEX(ビットメックス)の手数料ルールについて詳しく解説
MACDのまとめ
MACD(移動平均収束拡散法)を使ってトレンドの転換点と売買ポイントを判断する方法について書いてみました。
ただ単にロウソク足のチャートの動きだけをみているだけでは判断し辛いトレンドの転換期を一目で判断できるので、ビットコインFXのように目まぐるしく相場が変化する相場でのトレードでは大事になってきます。
テクニカル指標を利用して有利にビットコインFXトレードをしてください!
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